CREATOR BUSINESS
個人クリエイターのための、依頼受付から納品・入金までの進め方
コミッションや制作案件で、料金表を作る前から納品後までに何を決め、どの記録を残すかを具体例で整理します。単発の計算ではなく、条件の聞き漏らしと採算崩れを同時に減らすための実務ガイドです。
- 対象
- イラスト、動画、デザイン、文章、配信素材などを一人で受注し、見積もり、制作、修正、納品までを自分で管理する方。
- このガイドで決めること
- 受注できるか、いくらで受けるか、どの条件を合意してから着手するかを、同じ情報から判断できる状態を作る。
最終更新 2026-08-03 ・ 読了目安 約11分
依頼を仕事として完了するまでの全体像
制作だけでなく、相談前後の確認と納品後の入金までを一つの流れとして管理します。
- 01
相談
用途・期限・納品物・利用範囲を聞く
- 02
合意
金額・修正・支払条件を文章でそろえる
- 03
制作
途中確認と変更内容を一か所に残す
- 04
完了
受領・請求・入金・記録保管まで確認する
最初に料金を決めると、後から条件が増えやすい
制作依頼では、用途、サイズ、納品形式、修正回数、実績公開の可否によって必要な時間と責任範囲が変わります。最初に金額だけを伝えると、依頼者と制作者が別々の完成像を持ったまま進み、追加対応を無償で抱えやすくなります。
先に依頼内容を整理し、次に自分の稼働余力を確認し、その条件に対して料金を提示する順序なら、断る判断も含めて説明しやすくなります。発注時の取引条件は書面やメール等で明示し、口頭だけにしないことも重要です。
相談を受けてから入金を確認するまでの7段階
ツールを使うことが目的ではありません。依頼者との確認、制作中の連絡、納品後の記録までを一つの仕事として進めます。補助ツールは、必要な工程だけで使ってください。
1. 依頼内容を確認する
依頼者が何に使う制作物なのかを聞きます。希望納期、サイズ、納品形式、修正回数、利用範囲、実績として公開してよい時期も確認します。決まっていない項目は推測せず、確認待ちと書き残します。
完了の目安:依頼者と制作者が、作るもの・使い方・期限を同じ言葉で確認できている。
この工程で使える補助ツール
2. 受注余力を確認する
制作時間に加え、資料確認、連絡、修正、書き出し、経理に必要な時間も見積もります。ほかの案件と重ねても納期を守れるかを確認し、無理がある場合は納期変更や辞退を伝えます。
完了の目安:作業時間と予備時間を予定表に確保し、受ける・条件を変える・断るのいずれかを決めている。
この工程で使える補助ツール
3. 見積もりと取引条件を合意する
基本料金と追加料金だけでなく、納品物、納期、支払期日、修正範囲、利用範囲、キャンセル時の扱いを文章で提示します。料金表だけで済ませず、今回の依頼に合う条件をメールや書面で確認します。
完了の目安:金額と条件をまとめた最終版に対し、依頼者から確認できる形で同意を得ている。
この工程で使える補助ツール
4. 制作予定と連絡方法を決める
ラフ確認、初稿、修正、納品の予定日を決めます。確認を依頼する相手、返答期限、連絡手段も決め、返答が遅れた場合に納期をどう調整するか共有します。
完了の目安:双方が次に行うことと期限を確認でき、連絡先とファイル共有場所が一つに決まっている。
5. 制作途中で認識を合わせる
合意した確認時点でラフや初稿を見せます。変更依頼は一か所にまとめ、当初の範囲内か追加対応かを分けます。口頭で決まった変更も、作業へ戻る前に文章で確認します。
完了の目安:採用する案と修正内容が確定し、追加料金や納期変更の有無も記録されている。
6. 納品し、受領を確認する
合意した形式とファイル数を確認して納品します。ファイル名、閲覧権限、ダウンロード期限を伝え、依頼者が開けることを確認します。元データを渡す契約でない場合は、納品対象を明確にします。
完了の目安:依頼者から受領確認があり、納品日・納品物・修正の終了が記録されている。
7. 請求し、入金と記録を確認する
合意した金額、取引内容、支払期日で請求書を作ります。入金後は請求書、合意内容、納品記録を案件ごとに保管します。未入金の場合にいつ確認連絡をするかも決めておきます。
完了の目安:請求内容に誤りがなく、入金確認日または未入金への次の対応日を記録している。
この工程で使える補助ツール
WORKED EXAMPLE
例:SNS用イラスト3点を月末までに納品する
依頼者は『SNSで使うイラストを3点、月末まで』と相談。制作者は今月の残り稼働が24時間で、同時進行案件があります。
確認する条件
- ・用途:告知投稿とプロフィール固定投稿
- ・納品:正方形PNG 3点、背景透過版を含む
- ・修正:ラフ段階2回、清書後は色調整1回
- ・想定作業:制作12時間、連絡・書き出し・納品3時間
判断として残すこと
- ・15時間を確保できるか、既存案件と合わせて稼働率を確認する
- ・基本3点、透過版、追加修正の条件を料金表と確認シートで一致させる
- ・実績公開日と公開可否を納品前に確定する
この例で重要なのは『3点だから○円』と先に決めないことです。用途と納品物、修正範囲、必要時間を揃えて初めて、受注可否と料金を同じ前提で判断できます。
迷ったときの選び分け
今いる工程に合わせて、最初に開くツールを選びます。
| 困っていること | 最初に使うもの | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 相談内容が曖昧 | 制作案件ヒアリングシート作成 | 未確定項目と確認事項を先に見える化する |
| 受けられるか判断できない | 稼働・売上キャパシティ計画 | 制作以外の時間を含めて残り余力を確認する |
| 料金の伝え方を整えたい | コミッション料金表メーカー | 基本料金と追加条件を一緒に提示する |
| 合意後の請求を残したい | 見積書・請求書PDF作成 | 金額と支払期日を取引記録として出力する |
着手前の最終確認
- 依頼内容、納期、納品場所・方法が文章で残っている
- 報酬額、支払期日、支払方法が合意内容と一致している
- 修正回数と追加料金が発生する条件を双方が確認している
- 著作権、利用範囲、実績公開の可否を料金とは別に確認している
- 余白時間を残し、病気や差し戻しを含む遅延リスクを説明できる
このガイドで判断できないこと
個別案件の契約解釈、著作権の帰属、税務処理、適正価格を確定するものではありません。法令の適用関係は発注者・受注者の状況で変わるため、重要な契約では専門家と最新の公式情報を確認してください。
ツールへ入力した内容をそのまま合意済みとみなさず、最終版を依頼者へ提示し、返信や署名など確認可能な形で残してください。
この業務のおすすめツール
確認した一次情報・仕様
内容は更新時点の公式情報を基準にしています。制度・仕様は変更されるため、重要な判断ではリンク先の最新版を確認してください。
- フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)
取引条件の明示事項と書面・電磁的方法の考え方を確認。
- フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A(公正取引委員会)
対象となる取引と義務の詳細確認に使用。
